ビットコインをはじめとする仮想通貨について税金はどうなるか実はまだ、明確な見解は出ていませんでした。本日の日経新聞の記事に仮想通貨の利益に関して国税庁の見解が紹介されていたので、書いてみたいと思います。
仮想通貨は損益の相殺は認められない
日経新聞の記事によると、国税庁はビットコインをはじめとする仮想通貨に関して、取引で生じる利益は雑所得にあたるとの見解をまとめました。これまでは所得税法上どう分類するか明確ではありませんでしたが、今年以降の対応として、
①ビットコインを使用することで生じた利益は所得税の課税対象
②所得区分は原則として雑所得にあたる
という具体的な内容を示した形です。
これは上場している株式や公社債などの金融所得とは損益を差し引きが出来ないことを意味します。所得に応じた累進税率を適用することで税務上の扱いを明確にして課税逃れを抑止しようという国税庁の意識の高さがわかります。
雑所得とは
雑所得とは所得税の区分の内、給与所得や事業所得などの他の項目にあたらない所得で、作家以外の人が得た原稿料や印税、講演料などが該当します。雑所得の内、FXや商品先物の利益は一律、20.315%(地方税含む)の税率が適用されます。
その他の利益に関しては原則、所得に応じた累進税率が適用される事になっています。下記の表のような税率になっています。
損益通算 | 税率 | |
譲渡所得 |
〇 |
20.315% |
上場株式の譲渡 | ||
公社債の譲渡 | ||
雑所得 |
△ |
20.315% |
金先物 | ||
FXなど | ||
雑所得 |
× |
5~45% |
講演料 | ||
ビットコインなどの仮想通貨 |
仮想通貨の雑所得 具体的な例
具体的な例でいうと、今年2月くらいビットコインは13万円くらいで先日、50万円位になっていましたが、仮に2月に13万円でビットコインを購入して50万円で売却した場合、37万円の売却益が出ます。金先物やFXなどはこの37万円に20.315%の税率がかかりますが、ビットコインは講演料などといった区分と同じく給与所得などと併せて計算されるので5~45%の間でパーセンテージが変わります。
譲渡所得(株式や公社債)と雑所得(ビットコインなどの仮想通貨)の違いは
株や社債の場合、譲渡損益をお互い差し引いて課税対象の所得を減らせる損益通算と呼ぶ仕組みがあります。これは、赤字が出た場合、損失を3年間繰り越し、将来の利益と相殺できる仕組みがありますが、今回の見解で、ビットコインはこの仕組みが使えないことが明確になりました。
国税庁としても激しい値動きで投機的な取引で莫大な利益を稼いだ人間にきっちりと課税したい思惑が見えますが、今まで課税がどのようにされるかわからなかったので明確な指針が出たことは仮想通貨を投資する人にとってはメリットと言えるでしょう。